ハースストーンで初めてのレジェンドランクに到達するために考えたこと-目的を達成するための戦略

2019/07/04


※この記事は2016年11月に書きました。現在は仕様の変更で試合に必要な試合数などはもう少し緩やかになっていたり、戦績をつけるのに良いアプリがあったり、最新のデッキリストをまとめている別の良いサイトがあったりすると思います。ただ、ここで考えたことの本質は変わらないため当時の文章そのまま記載しています。

0. はじめに

Hearthstoneは日本語版が出る前からNAサーバでプレイしていましたが、本腰をあげたのは旧神のリリースからです。旧神のささやきのスタートは2016/4/27、実質5月からスタンダード環境が始まりました。そこから6ヶ月間はこのようなランクの推移でした。

5月:ランク12(NA)6月:ランク10(NA)7月:NAからアジアサーバ移行・アドベ消化8月:ランク109月:ランク510月:レジェンド

ここにまとめる内容は、10月にはじめてレジェンドへ到達するまでに考えて実行してきたことです。

僕は、一度でいいからレジェンドになりたいと思っていたものの、社会人で子供もできてハースストーンにかけられる時間は限られていました。

その中でレジェンドになるために、僕はハースストーンのプレイングを上達させて熟練者になることを目指すのではなく、いかにプレイングの上達にかける時間を抑えてレジェンドになるかを考えました。それは、結果的にレジェンドになるための時間的効率の良い方法を考えたということです。

なので、はじめに断っておくと、記事の中には熟練者になる方法は書いていません。マリガンやプレイングのような対戦が始まってからの話は、熟練者のガイドや動画を参考にしたほうが良いからです。ここに書くのは対戦をはじめる前までの効率化の話です。

これは、最高ランクが5〜10でレジェンドになれたら良いなと思っている方達にきっと役に立つと思っています。

1. レジェンドになりやすい月を考える

レジェンド到達の難易度は月によって変わります。その要因はカードプールの量と環境の変化です。

カードプールとはカードの種類のことで、少ない時ほど覚えることが少なくて済みます。ハースストーンのスタンダードルールでは時期によって4〜6種類のカードパックを使うことができます。覚えることが一番少ないのは4種類のときなので、理屈上はここが一番良いでしょう。

環境の変化とは、新しいパック、スタン落ち、アドベンチャー、カードの調整を指し、先にあげたものほど大きい変化が起こります。変化が大きいと、使うデッキを変えたり、新しい知識を学んだりする必要があるため、地力が少ないままレジェンドを目指す場合にはマイナス要因になります。最もベストなタイミングは変化の少ない月を狙うことです。

僕は2016年5〜10月の下記のような環境の変化の中で7,10月を目指す月と考えました。実際には7月はアジアサーバへの移行期間だったため、10月を狙い、そこで初レジェンドに到達しました。・4/27 旧神のささやき追加とスタンダード開始・8/12〜9月頭 “ワン・ナイト・イン・カラザン"実装・10/3 ヨグサロン等のナーフ

2. レジェンドになるために必要な試合数とは

レジェンドを目指す話ではデッキやプレイングの話になりがちですが、これから目指す人にとって一番大事だと思うのはスケジューリングです。レジェンドになるためには月に何試合をこなせば良いかご存知でしょうか?僕が出した答えは300戦です。その300戦をレジェンドになりやすい月にこなす事がレジェンドへの近道です。

戦わなければレジェンドにはなれない

10月にレジェンドを目指すとき、今月は300戦すると覚悟を決めました。1日の時間の全てをHearthstoneにかけられるのなら考えなくて良いことですが、多くの人は限られた時間の中でプレイしています。300戦というのは1日平均10戦ですので、僕もそうでしたが社会人にはなかなかハードルの高いノルマです。何も考えずにプレイしていたら達成が難しい数なので、認識し、スケジュールを立てる必要があります。

僕はこの意識を持つ前は3連敗もすればふて腐れてその日はラダーを止めていました。しかしそれでは物理的にレジェンドが不可能だったのです。

300戦の求め方

ランク25からレジェンドへ到達するために必要な★は95個です。95連勝すればレジェンドへ行けるわけですが、Hearthstoneの勝率は上級者でも7割行かないと言われています。ネットでは「誰々が勝率7割でレジェンド上位へ行った」とか「ランク5から勝率8割でレジェンド行った」という情報を見かけますが、これらは稀なケースだから話題になったり拡散されるのです。多くの人は勝率6割前後にいます。なので、勝率6割で★95個獲得する試合数を考えてみます。

勝率6割とは10戦6勝4敗なので、勝敗の差の【2】が10戦して増える★の数です。この計算で★を95増やすには475戦必要です。しかし、ランク5までは3連勝以降★が2倍になるボーナスがあります。

10戦して勝率6割で最も効率よくボーナスを貰えるのは【勝勝勝勝勝勝負負負負】です。勝敗差の2+ボーナス4で、10戦で★は6増えることになります。最悪なのは【勝勝負勝勝負勝勝負負】です。ボーナスが無いので増える★は2のままです。

ここでは厳密な計算はせず、この6と2の中間の4を使います。【連勝ボーナスのあるランクでは勝率60%で10戦すると★+4】と仮定し、ランク25から5までに必要な★70で割ると、【175戦】必要です。ランク5からボーナス無しの★25は、10戦して★+2なので【125戦】必要です。

つまり、勝率6割でレジェンドを目指すには、ざっくり計算してランク5までに175戦、ランク5から125戦、合わせて300戦が必要です。これが300戦の理由です。ちなみに同じ計算を勝率65%ですると、ランク5までに122戦、ランク5から84戦で、合わせて206戦と一気に楽になります。

第一目標は2週間でランク5

上の計算からもう一つわかることは、ランク5からも125戦/300戦必要だということです。上の計算は常に平均勝率60%で計算していましたが、現実にはランクが上がるほど勝率も落ちます。また、前の月に上のランクまで行っていればランク25から始まりません。現実には、175戦:125戦という配分はもっと後者に寄ります。

何が言いたいかというと、ランク5到達はレジェンドの道のりの、総試合数における丁度中間地点だということです。月の半分の2週目が終わった時点でそこにいるかどうか、その時点での勝率は6割後半に近いか、残りの日程で125戦こなすことはできるか。これを、レジェンド到達の目安にしましょう。

実体験によるランク5からの苦しさ

僕が初めてレジェンドへ到達したときの試合数は195戦127勝。勝率65.1%でした。

内訳は、ランク2到達までが105戦で勝率70%。スピードと強さを重視したzooで驚異的に勝てました。しかしここから停滞します。ランク2から52戦して勝率53.8%。ランク1に上がれません。月半ばでミッドレンジシャーマンが単独Tier1評価を受け、明らかにシャーマンの数が増えました。自分のzooではAOE4枚積みのシャーマンに対して、相手が事故気味かつ自分が回ったときしか勝てません。ランク1に上がったと思ったらランク2に落ちるもどかしい時間です。

ラダーの途中でデッキを変えたくは無かったのですが、前月ミッドレンジシャーマンを使っていてある程度扱えたことと、明らかな1強状態だったので、何度めかにランク2に落ちた時点でシャーマンに変更。その後38戦して勝率65%でレジェンドに到達しました。

僕の例では195戦のうちの90戦をランク2からレジェンドに使っています。ランク5どころか2が中間地点でした。ランク5からはそのくらい長いということを覚えておいてください。

3. レジェンドを目指すために戦績記録は不可欠

僕はハースストーンでレジェンドを目標にするようになってから、すべての試合の勝敗をメモしました。最低限、勝ち負けと相手のヒーロー名。余裕があればデッキタイプと勝敗の決め手をメモします。ちなみに、iPhoneではTrackstoneというアプリが使いやすく見た目も美しいです。Androidはこれといったものが無く困っています。PC版プレイヤーの方はHearthTrackerを使ってください。自動で記録してくれます。

今どうすべきかを知るための戦績記録

戦績記録はレジェンドまでの船旅でいう風を読む役割です。例え直前に5連敗していても累計の勝率が7割であれば風は進行方向に強く吹いているので帆を全開にすべきです。対戦をこなしましょう。逆に直近5連勝でも累計の勝率が45%であれば風が逆向きに吹いているので、対戦へ進む前にデッキやプレイを見直す必要があるでしょう。51%であれば風は前に吹いていますがだいぶ弱いです。時間内にレジェンド到達ができるか、立ち止まって考えましょう。この場合もデッキやプレイを見直す必要があるかもしれません。

正確な戦績データは、このように進むべき時と立ち止まる時を正確に把握する判断材料になります。はじめてのレジェンドという航路に風を読めないまま向かうのは無謀です。必ず戦績をつけましょう。

目標は勝率6割台

戦績を判断する基準ですが、実はレジェンド到達者でも勝率は6割台がほとんどです。ネットの情報を見ると8割近く勝った履歴を披露している人もいますが、これは特別なことだから本人も披露するし情報が拡散するのです。特別な例なので惑わされないようにしましょう。

ランク10までは6割後半。ランク5までは6割台。ランク5からは6割前後。これくらいでかなり良いペースと言えるはずです。

戦績をプレイに反映させる

ある程度データが溜まってきたら、全体の戦績のほかに特定のヒーロー・デッキとのマッチアップがどうなのか局地的なデータも見てみましょう。

僕は、苦手と思っていたヒーローに対して実は勝率が6割割以上あることがわかりました。人は敗けたときの記憶のほうが勝ったときよりも強く残るので、勝率が6割あったとしても「あまり勝てていない」という印象を持ちます。そのようなときにデータを見ることで、もし勝率が上回っているのなら、そのマッチアップでのあなたのプレイングは正しいということがわかり、これが次の勝負での勝率を上げることにつながります。

4. レジェンドを目指すために選ぶべきデッキとは

僕は、効率良くレジェンドを目指すため、以下の考えを元にデッキと内容を決めました。これはどんなシーズンでも共通する考え方ですので、レジェンドを目指している方の参考になれば幸いです。

Tier1を使う

当たり前のことですが、レジェンドへの近道には強いデッキが必要です。僕の目的はレジェンド到達であって、好きなデッキでレジェンドを目指すことではありません。なので勝利に最も近いTier1のデッキを選びます。

僕は旧神リリース後から、クトゥーンウォリアー、ズー、アグロシャーマン、ドラゴンテンポウォリアー、ミッドレンジシャーマン、マリゴスドルイドを使いました。プリーストでのラダー対戦回数はレジェンドになるまで0回です。彼はTier4だったからです。

Tier1は対策をとられるから避けたほうが良い?いえ、それでも勝てるからTier1にいるのです。本当に対策をとられて弱くなったデッキはTier2以下に落ちるので安心してください。

少し感情の話になりますが、効率良くレジェンドを目指したいのであればTier1を使うことを恥じたりためらったりしないでください。もし、負けたときの言い訳のためにTier1を避けているのならやめましょう。目的は勝つことです。

選択肢が少ないほど良い

デッキの具体的な内容を決める前に、Hearthstoneの”強さ”とは何かをおさらいしましょう。

Hearthstoneの上級者と僕らとの違いは「何を選択するか」ということ一点しかありません。Hearthstoneでは複雑なコマンド入力や瞬間的な反射神経などを必要としないかわりに、その時できる選択肢を考え、その中から最も勝利に近づく選択をする能力が必要です。将棋ソフトが指す手をトレースすれば勝てるように、上級者と同じ正しい選択ができればレジェンドになることができます。

正しい選択を行うために必要なことは正しい知識と考えを持つことですが、これには時間と経験が必要です。しかしもう一つ、選択肢自体を減らすという解決策があります。ドラゴンテンポウォリアーを使っているとき、後攻1ターン目にコイン+アレクストラーザの勇者で敵のフェイスに突撃するプレイには上級者と僕らの差はありません。これは選択肢が限られているからです。選択肢が少なければ少ないほど、僕らがプロと同じ選択をする確率は上がります(=勝つ確率が上がります)。

なので、ここからは「選択肢が少ないデッキほど良い」という判断基準を持ちます。

Tier1が複数あるときの選択基準

Tier1が複数あるときは「アグロ›テンポ›ミッドレンジ›コントロール」の優先順で選びます。これには2つの理由があります。

1つ目は選択肢の話。一般的にコントロールに寄るほど決着までのターン数が多く、ターン内に行う選択肢も多いため、正確なプレイが難しくなります。アグロやテンポはマナに沿ってカードを使っていけば良いタイプが多く、決着も早いので、選択の機会も選択肢の量も圧倒的に減ります。カラザン前のドラゴンテンポウォリアーやミッドレンジハンターは、常に今のマナと同じマナのカードを使えば良く、理想的でした。

2つ目の理由は、アグロ寄りのほうが勝つにしろ負けるにしろ一試合にかかる時間が短いことです。2種類の同じ勝率のデッキがあれば、試合時間が短いほうほど、限られた時間の中で★を多く集めることができます。

強い人のリストをそのまま使う

Tier1のデッキを決めたらその中身を考えますが、プロやレジェンド到達者のデッキを常にそのまま使います。

人のデッキのパクりかよと思うかもしれませんが、目的はデッキ構築力を上げることではなく、レジェンドに到達することです。上級者やプロが実戦と経験に基づいて構築したもので結果が出ているのであればリストの中身に間違いはありません。

また、そのデッキでレジェンドへ行けた人がいるという事実はプレイ中のデッキ調整という迷いを無くし、プレイ時間をラダーだけに集中させることができます。

ピン刺しを避けてリストを選ぶ

同じタイプのデッキのリストが複数あるときは、カードの種類が少ないリストを優先的に選びます。

Hearthstoneはデッキ30枚にレジェンド以外は同じカードを2枚まで入れられるので、最も種類が少ないのは15種類。最も多いのは30種類です。つまり、なるべく15種類に近いリストを選ぶということです。

これも選択肢の話が理由です。デッキのカードの種類が少ないということは、選択肢と覚えるべきことが減るということです。たった1,2枚の差ではありますが、プロとの選択の差を縮めることができます。

例えばミッドレンジシャーマンに「大地の衝撃(ミニオン1体を沈黙させて1ダメージ)」を1枚だけ入れたリストが稀にあります。

このカードを使うには、相手のデッキ内のミニオンを把握し、誰を沈黙させるのが最も良いかを考えた上で、試合展開によっては沈黙効果を無視したダメージスペルとして使うことも考慮します。バーンズから召喚した1/1を元のサイズに戻すことも、味方のラグナロスを動ける8/8にすることもあるでしょう。

いつでも使える1マナ呪文なので、初手に握っただけで毎ターンこれらを考える必要があり、選択肢が増えて正確なプレイから遠ざかってしまいます。

番外:レジェンドになるために課金は必要か?

結論は「必須ではないが、課金で到達までの時間を早められる」です。前提として、Hearthstoneは課金をすれば強くなるゲームではありません。プロが使うアジュアドレイクも今日ゲームを始めたプレイヤーが使うアジュアドレイクも全く一緒の能力です。

もう1つ。課金で手に入るカードは、日々のクエストをこなして得られるゴールドでも手に入ります。課金しないと手に入らないカードは存在しません。

つまり、Hearthstoneにおける課金とは時間の短縮です。 質問への回答は、レジェンドへ今すぐになりたいならTier1のリストに不足しているカードを揃えるまで課金してください。ですし、1年後を目指すのであればクエストをこなす事を優先しながらカードと魔素を貯めましょう、です。

1つ補足をすると、課金をすることによる時間の短縮はゴールドを貯めるための物理的な短縮の他に、組めるデッキが増えることでのプレイング上達の時間短縮効果もあります。

最終的にレジェンドを目指すときにミッドレンジシャーマンを使うとしても、マリゴスドルイドやコントロールウォリアーを自分で使えば効率的に対戦相手を知ることができます。

対戦が始まったとき、相手のデッキタイプを即座に判断し、カードのリストを頭に浮かべ、相手が回っているのか事故っているのか、警戒すべきカードは何かがスッと頭に入ることは数パーセントの勝率を上げることに貢献します。

これは、自分でそのデッキをプレイしなくても、動画を見ることでもプレイングガイドを読むことでも可能ですが、人間が一番覚えやすいのは自分が体験したことです。


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