読書メモ:わたしが正義について語るなら やなせたかし

2024年


・「正義はある日逆転する。逆転しない正義は献身と愛です。」
終戦の際にそれまで信じてきたものが変わった体験をしたことで正義のための戦いなんてどこにもない、と筆者は思った。"正しいこと"というものも明日には変わるかもしれない。ただ、その仲で、目の前で飢えている人にパンを差し出すことは不変的に間違ったことではないだろう。みたいな話。

・アンパンマンの最初の絵本で描きたかったのは、顔を食べさせて顔がなくなったアンパンマンが空を飛ぶところ。顔がないのは無名ということ。

・アンパンマンがなぜウケるのか今でもわからないが、真剣に考えて自分のメッセージをしっかり入れるようにした。それが「正義とは何か。傷つくことなしに正義は行えない」

・アニメ化するときに指を全部省略してげんこつにした。必要なときは5本になるが一見げんこつ風。これによって、人形化するときも着ぐるみをつくるときもつくりやすい。アニメーターも楽。これはひとつの革新的な試みだった。

・面白いにはちょっと悲しい部分を入れないといけない。光を描きたければ影を描かなくちゃいけない。新印象派のフランス画家スーラのデッサンは影がうまいので光を描ける。

・正義を行う人は非常に強い人というわけではなく、我々と同じ弱い人。目の前で死のうとしている人を助けるために飛び込んでしまう。やむにやまれぬ気持ちになる。そういうもの。

・アンパンマンのマーチの中にある「愛と勇気だけがともだちさ」。これは、戦うときは友達を巻き込んじゃいけない。戦う時は自分一人だと思わなきゃいけないということ。道連れは良くない。無理矢理ついてくるなら良いけど。ということを言いたかった。

・アンパンマンは自分の顔を食べさせる。自己犠牲。正義を行うには本人も傷つく覚悟をしないとできない。

・ヒーローは寂しいしあんまり良いもんじゃない。誰かに感謝されたりもしない。

・「虚仮(こけ)の一年」という言葉。この世界は、そのことばかりやっていればなんとかなるもの。器用で最初からできるより、才能がなくても虚仮の一年でやっていればいつか花が咲く。途中は辛いが耐えられるのは結局は好きだから。

・メソッドをつくる簡単な方法はなくて、やってやりまくるうちにいつの間にかできてくる。たくさんやるほかない。

・漫画家。マンガばかりじゃなくて何かの付加価値がなくちゃいけない。一番良いのは学校の勉強を一生懸命して成績が良い。そしてさらに漫画家になる。学校の勉強は結構基礎的なことを教えてくれるようになっているから。

・人生の楽しみの中で最大最高のものは、やはり人を喜ばせること。全ての芸術、全ての文化は人を喜ばせたいということが原点。喜ばせごっこをしながら、さよならだけの寂しげな人生をごまかしながら生きている


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