2020/03/15
昨今の格闘ゲームには根性値と呼ばれるシステムがある。キャラクターの残り体力によって同じ攻撃から受けるダメージに補正がかかるシステムで、残り体力が少ないほどダメージが小さくなる。具体的には、試合開始直後の体力満タンの状態では10ダメージの攻撃が、残り体力10のときは8ダメージに減る、といった具合。
多くのゲームではキャラクター毎にこの根性値による補正値が変わるが、今回はその差は置いておいて、この根性値というシステムが何故あるのかを考えると、「敗けたときに接戦だったと感じやすくなることで、ゲームからの離脱を防ぐため」だと思う。
格闘ゲームでは画面上にお互いの体力ゲージが表示されている。先ほどの根性値のシステムがこの体力ゲージに視覚的にどう反映されるかというと、以下のように体力が多ければゲージは大きく減り、体力がない時ほどゲージが減りにくくなる。※例ある攻撃を受けた時、体力満タンの場合は、2メモリ減る。■■■■■■■■■■↓■■■■■■■■□□同じ攻撃を受けても、瀕死の場合は、1メモリしか減らない。■■□□□□□□□□↓■□□□□□□□□□
つまり、見かけ上の体力ゲージは実態よりも少なく見えていることになる。見かけ場半分減らしたと思っていても実際の体力は半分以上ある。これにより、あらゆる対戦結果は根性値システムがない状態よりもお互いの体力が減っているように見える。
では、何故そのように「お互いの体力が減っているように見える」必要があるのか。
前提として、格闘ゲームに限らず、対戦ゲームが継続するにはプレイ人口の継続と拡大が必要だけど、対戦ゲームは「半分のユーザが敗けを経験する」という離脱ポイントを常に抱える。「敗けてムカつくからもうやらない!」とならないよう、いかに敗けのショックを和らげるかを開発者は考えている。そして、格ゲーにおける根性値もその1つだと思う。
格ゲーで敗けたユーザがまず見るのは相手の体力ゲージ。残り8割あるなら惨敗だが、残り1割ならもう一度やれば勝てるかもしれないと思える。 前述した通り、根性値とは その「もう一度やれば勝てるかもしれない」という見かけ上の状態を作りやすくするものなので、それによって敗けのショックを和らげ、離脱を防ぐことに一役買っている。