げんきカレーの仕組みとカナダのグループ・オブ・ファイブの支援の見える化という共通点、そしてSDGs

2019/12/10


先日、NHKで奈良にあるげんきカレーというお店が特集されていた。この店には子どもたちのための、みらいチケットという仕組みがある。会計の際に食べた分とは別で1枚200円でチケットを購入し、店のホワイトボードに貼る。すると、次に来店した子どもはこのチケットを使って無料でカレーを食べることができる。

6人に1人は相対的貧困と言われる世の中で、地域の助け合いでお腹いっぱいになってもらおうという目的の取り組みで、素敵なことだと思う。映像では、子どもたちの集団が来て嬉しそうにみんなでチケットを使っていた。このくらいカジュアルにみんなが使うほうが、本当に必要な子も気負わず使えて良いなと思った。※このお店自体は子どものたまり場にもなっていて、学年バラバラの子どもたちが宿題を持ち寄ってやっていたりもするようだ。http://sp.raqmo.com/gennki200/index.php?shop_id=3540&page_id=1

みらいチケットのうまいところは、買った大人の承認欲求がうまく満たされることにあると思う。仮に募金箱にお金をいれる形態だと、自分の払ったお金で本当に子供が食べてくれたのかが見えない。ホワイトボードに貼り、メッセージも書けるこの形態は、自分のチケットがなくなったことが確実に実感できる。だから、この寄付行為をやりたいと思うし、やったあとの満足度も高い。もう1つ言うなら、チケットを買ったあとに無くなったことを確認するために再訪したくなるのでリピート施策にもなっている。

げんきカレーのことを知る数日前に、TEDで「人を助けることで幸せになれる—でもそのやり方が重要」という動画を見た。https://www.ted.com/talks/elizabeth_dunn_helping_others_makes_us_happier_but_it_matters_how_we_do_it/transcript?language=ja

この中で、カナダ政府のシリア難民に対するグループ・オブ・ファイブという支援が紹介されている。5人以上の地域のグループで難民の家族が1年生活できる費用を集めると、自分たちの街に本当に家族がやってくるという制度だ。スピーカーのエリザベス達はは空港で難民の家族を迎え入れ、その後も地域で家族ぐるみの付き合いをしている。

この動画には他にもいくつかの事例が紹介されているが、共通して言えるのは、「人は誰かを支援することに幸福を感じるが、支援の効果が実感できるとその幸福度は何倍にも大きくなる」ということ。

SDGsやCSRようなことを考えることは一見マーケティングとは違うように思えるが、本当にその制度が使ってほしいものであれば、いつも以上に使いたくなる・係属したくなる仕組みを考える必要があると思った。それは、げんきカレーの募金箱ではないみらいチケットというアイデアのように。


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