2018/06/15
美大で情報デザインを学び、デザイナーとして就職活動をし、社会人になってからはhtmlとcssとjsをかき、ディレクションやマーケティングや広告運用をし、今は論理的思考を大事に思いながら理屈っぽいと思われながらデータ分析をしている。
美大とデータ分析というと真逆のように思われることも多いけれど、僕はそんなに芯はずれていないと思っている。それは、僕には才能が無く、理屈でデザインすることしか出来なかったからだ。
遡れば美大受験のための平面構成。与えられたお題に対してポスターのようなものをつくる。ここでまず配色のセンスがなかった。僕の思う配色は明度も同じで補色もめちゃくちゃ。自分にセンスがあると思っていたけれど何度やってもダメ。夏期講習でも絶望的な評価をもらいまくった。
あるとき年の離れた兄(彼も美大生)に平面構成の話をしたら、そんなに出来ないなら、うまい人の色を覚えて、その通りの配色を使えば良いと言われた。また、アクリルガッシュの色を混ぜるのは難しいから、チューブそのものの色だけを使う方が良いともいわれた。この色はむらが出やすいから極力避けた方が良いという話も聞いた。
それから僕は予備校の参考作品集を漁り、「チューブの色そのもので構成された配色」を探して自分の中にストックすることにした。さらに、参作を見ていくうちに平面構成のやり方自体もパターンが見えてきた。「機をてらわずストレートな表現で良い。ストレートな表現の中に1つ工夫があれば良い。目立たせたい部分の色とその補色の2種類の色味で十分。自由曲線は使わず定規とコンパスでつくれる線に絞る。」と覚えたことを今でも覚えている。もちろん、この法則に合わない作品もあったが、現役生の自分が真似できるのはここまでだという線を引いた。受験の目的は1位をとることではなく合格点を取ることだからだ。
その後はというと、僕の中の理屈と配色がドンピシャに合うお題の時には最高評価をとることができた。現役クラスで初の1位になった時のお題は「SKY」。浪人生と混ざったときに最高クラスの評価をとれたお題は「さんすう」。この2つは今でも覚えている。一方で、理屈が通じなかったり配色ストックが弱い暖色系のお題の時は、受験直前まで最低評価をとることもあった。
僕の平面構成に対しての理屈は完璧ではなかったけれど、少なくとも感性だけに頼っていればもっと悪い結果しか出せなかったと思っている。僕は平面構成を通じて「自分の感性に頼るよりも理屈を重視したほうが結果が出る」という体験をした。
美大に入ってから、周りには今まで以上に凄い人が沢山いた。(元々絵が描けなかったけど、)こいつら相手にイラストレーターになるのは無理だと思ったし、グラフィックデザイナーも無理だと思った。その中で、悪く言えば消去法、よく言えば強みを活かせると思い辿り着いたのがUXだった。
具体的な課題で言えばウェブデザイン。そこで求められるのはビジュアル以外に、ユーザの体験のために必要な構造を理論立てて考える能力だった。ついでに、htmlやcssみたいなコーディングも趣味でやっていたので丁度良かった。
そんな感じで、受験の時にセンスのなさを自覚して理屈という方法に会い、美大ではそれが活きるUXデザインに会い、色々あってデータ分析をする今に至る。