かゆいうま。残されたログから背景にある物語を想像する楽しさとfallout

2016/03/07


バイオハザードのゲーム内に「飼育員の日誌」というコレクションアイテムがある。ゲームの舞台であるゾンビのうろつく洋館。ここに元々いた人物が書いた日記の断片で、ゲーム内でアイテムとして拾って中身を読むことができる。

※内容はリンク先の全文へ http://dic.pixiv.net/a/かゆいうま

同じ情報は主人公に喋らせたりムービーにすることでも伝えられるけど、短いテキストログと最後の「かゆい うま」があれば、プレイヤーは日記の持ち主達に起こった悲劇を十分に理解し想像できる。

背景にある物語を知ることは本編に深みを与えてくれる。自分で想像して補完するという行為も楽しいので好き。

同じような手法は他のゲームにもある。

音声ログという形をとっている印象的なタイトルは、Halo3:ODSTとBioshockシリーズ。文章ログのようにメニュー画面を開いてゲームを中断させることなく、キャラクターを操作しながら拾った音声レコーダーのアイテムを再生して聴けるのでゲームのテンポを損なわない。音声ログならではの録音中に突然起きた不測の事態の演出(※)も楽しい。 ※「あの情報は地下室にある。奴らの手にわたしてはいけな…"ガシャーン!" な、なんだお前たち、ウ、ウワー!…………」

そして、個人的にこの手の演出が1番上手いと思うのはfalloutシリーズ。核戦争後の荒廃した世界を旅するこのゲーム。その設定の時点で世界のすべての場所に「核戦争前の平和な日常」が存在することになり、会話、音声ログ、テキストログ、オブジェクト、敵配置といった、ゲーム内のあらゆる要素が、それぞれの場所の背景にある物語を想像させてくれる。それが隠しアイテムの在り処を示すこともある。

たとえば街中にあるスーパーマーケット。壊れた内装と散乱した商品から核戦争の激しさがわかり、配置された敵とオブジェクトから戦争後にここで暮らす悪人達の生活ぶりが垣間見える。

パソコン端末内に残されたテキストログから当時働いていた人達の人間関係がわかるし、部屋の片隅にある死体と銃と缶詰から、その人達がどういう最期を迎えたのかを知ることができる。

決して珍しいジャンルでは無いオープンワールドFPSのfalloutが頭一つ抜けて人気なのは、こういった世界観の構築力にあると思う。


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